OSHO said

20世紀の覚者、OSHO(バグワン・シュリ・ラジニーシ)の講話

1.理想について

<OSHOの講話より> 

質問:臆病や偽善といった否定的な感情もまた美しいということはあり得るのですか? 

もしあなたが勇敢な人であろうという考えをもっていたら、臆病者であることは醜く見える。だが、臆病なのは事実であり、理想はただの理想、マインドの幻想だ。 

幻想を現実の犠牲にするがいい。全ての理想を落とすがいい。そうすれば、生は統合され始める。拒絶された全ての断片が家に戻って来はじめる。抑圧されたものが表面に現われ始める。初めて、あなたはある種のまとまりを感じ始める。もはや、あなたはばらばらではない。 

たとえば、私が「親切な」人であろうとし続けたら、意識の中に怒りの感情が湧いて来た時、それらを認めて受け容れることを自分に許せないだろう。親切な人はただ怒らないからだ。 

だから個人の統一を意識にもたらすために、まず私は何ひとつ固定化したり長続きしたりするものはないが、自分は意識に湧き起こる瞬間ごとの体験に基づく現実のみであり続ける、という立場を取らなければならない。 

従ってある瞬間には私は怒っていて、次のある瞬間には私は悲しく、次のある瞬間には私は嫉妬し、次のある瞬間には私は喜んでいる。瞬間から瞬間へ、何が起ころうとも全て受け容れられる。そうなったら、あなたはひとつになる。そして、この一体感は理解すべきもっとも基本的なことだ。 

マスターは、いかなる瞬間であろうとその時に弟子が実際にそうであるのに拒絶された、これらの体験上の自己の局面に弟子が直面し、それらを統合するように助けなければならない。 

弟子がそれとは逆の埋め合わせや、自分はこうあるべきだと感じているものや、守ろうとしているもの、強めようとしているもの、あるいは主張しようとしているものを実現するのを助けるのではなく。 

私の目的、私の働きは、全ての理想をあなたから取り去ることだ。あなたは理想を抱いてやって来た。あなたは私に自分の理想を高めて欲しい。あなたは私に、自分がなりたいものになるのを援助し、助けて欲しい。それが、あなたがここに来ているあなたの動機だろう。だが、それは私の仕事ではない。 

私の仕事はまさに逆だ。すでに事実であることをあなたが受け容れて、自分の幻想を全て忘れるのを助けることだ。私はあなたに、もっと現実的で実際的になって欲しい。私はあなたに地中の根を与えたい。ところが、あなたは空に憧れ、大地を完全に忘れている。 

その通りだ、空もまた手に入る。だが、自分の根が地に深く入った者達にだけだ。もし樹が空高くそびえ、雲たちとささやき合い、風と戯れ、星々と少し交感したければ、その樹はさらに深い、深い根を地に伸ばさなければならないだろう。 

第一のことは、地に根を伸ばすことだ。二番目のことは自ずと起こる。根が深く行けば行くほど、樹は高くなる。他には何もする必要はない。 

私のここでの努力は、あなたの根を真理の土壌に深く伸ばすことだ。そして真理とは、あなたがそうであるものだ。 

そうなったら突然、ものごとが起こり始めるだろう。あなたは上昇し始める。つねに得ようとして来たが、あなたには決して達成出来なかった理想が、ひとりで起こり始める。 

もし人が自分の現実をありのままに受け容れることが出来たら、その受容そのものの中で全ての緊張が消える。苦悩、不安、絶望・・・それらは全てただ蒸発する。 

そして不安がない時、緊張がない時、断片化がない時、分割がない時、精神の分裂がない時、その時突然、喜びがある。その時突然、愛がある。その時突然、慈悲がある。 

これらは理想ではない。これらはとても自然な現象だ。必要な全ては、理想を取り除くことだ。なぜなら、これらの理想が障害物として働いているからだ。理想的な人であればあるほど、その人ははばまれている。 

奇妙で矛盾しているように思えるが、安らぎは痛みの真っ只中でのみ見つかり、否定的なものや痛みを伴うとみなされているものと闘ったり、それから逃げたりすることでは決して見つからないことになっている。 

その通りだ、臆病はあなたに痛みをもたらす。恐怖はあなたに痛みをもたらす。怒りはあなたに痛みをもたらす・・・これらは否定的な感情だ。 

だが安らぎは、痛みを伴うものを拒絶することによってではなく、それを受け容れて吸収することによってのみ達成され得る。それを拒絶することで、あなたはますます小さく、小さく、小さくなり、力はますます弱くなる。 

そして、あなたは絶えず内なる戦争、内戦に陥り、そこでは一方の手がもう一方の手と戦い、そこではあなたは自分のエネルギーをただ浪費する。 

覚えておくべき非常に基本的なこと・・・心理的な痛みとの交感のみが、その解放と超越のための扉を開く・・・心理的な痛みとの交感のみが。 

痛みを伴う全てのものが受け容れられなければならない。それとの対話が生み出されなければならない。それは、あなただ。それを超えていく為の方法は他にない。唯一の方法はそれを吸収することだ。 

そして、それには途方もない潜在能力がある。怒りはエネルギーだ、恐怖はエネルギーだ、臆病もそうだ。あなたに起こる全てには、その中に隠されている大きな弾み、大量のエネルギーがある。 

いったんあなたがそれを受け容れたら、そのエネルギーはあなたのものになる。あなたはもっと強くなる。あなたはもっと広くなる。あなたはもっと広々としてくる。そうなったら、あなたにはさらに大きな内なる世界がある。 


Osho, Unio Mystica, より抜粋